4月25日発売の週刊少年マガジン第21・22合併号にて新連載予定の大沢祐輔先生に、これまでの軌跡および現在の仕事の様子をインタビュー。連載準備まっただなかの奮闘を伝える、超貴重なレポートです!!


【青雲の志】編 ~デビューするまで~

「女の子キャラが一人も出てこない漫画とかを描いていました」

ある平日の昼下がり。小雨降るなか、陣中見舞いとインタビューを兼ねて仕事場を訪問した担当陣。
仕事場は小学校の隣にあるマンションの一室。玄関を入ってすぐ右手の部屋が作業場になっている。昨日までアシスタントさんと一緒に描いていたからか、執筆の熱気が感じられる部屋で大沢先生から話を聞いた。

 

――今日はよろしくお願いします。まずデビューまでの道のりをお聞きしたいんですが、新人漫画賞で佳作を受賞してデビューしたのは2年半前でしたね。

大沢「はい」

  • 第82回新人漫画賞で『魔女とメガネと魔法陣』が佳作を受賞。マガジンSPECIAL 2009年No.7に同作が掲載されデビュー。 →作品はこちらで読めます!

 

――それはマガジンの編集者と打ち合わせするようになってから、どれくらい経ったときだったんですか?

大沢「1年くらいです。月例賞のマガジングランプリ(=MGP)に2作品投稿したら、そのうちの1つが奨励賞に引っかかり、Oさん(その当時の担当者)から連絡をもらって打ち合わせするようになりました。Oさんと一緒につくった2つ目の漫画が『魔女と~』でした」

 

――編集Oと打ち合わせして変わったところはどんなところですか?

大沢「恋愛色を入れることです。もともと女の人を描くのが苦手で、当時は女の子キャラが一人も出てこない漫画とかを描いていたんです」

 

――デビュー作『魔女と~』はヒロインの魔女が登場しますよね。

大沢「『魔女と~』はOさんとの打ち合わせで2回ネームを全直ししたんですが、最初の全直しはヒロインを変えることでした。もともとは妖精のように人間とはサイズが違う存在で、主人公のまわりを飛び回っているようなキャラクターだったんですが、恋愛色を高めようということで人間と同じサイズにしました。他にも、主人公とヒロインで“何かいいシーンを作って”と言われたので、オーロラのシーンを付け加えました」

 

――「何かいいシーンを」というのもざっくりした要望ですね(笑)。描くのにいちばん苦労したシーンはどこですか?

大沢「最初に天井からヒロインが降ってくるシーンです。とにかく女の子キャラを描くのが苦手で……」

 

――絵の練習はどのようにしていたんですか? アシスタントはされていたんですか?

大沢「アシスタントは新人漫画賞を受賞したすぐあと、上京してから始めました。受賞するまでは独学です。この本を見て練習しました」

  • 使っていた本を見せてもらう。『やさしい人物画』『やさしい顔と手の描き方』『パース!マンガで分かる遠近法』(いずれもマール社)の3冊。

 

――(『やさしい人物画』をめくりながら)デッサンのことなどがしっかり描かれた本ですね!

大沢「図書館で発見して読んでみたらとてもいい本だったので、買って手に入れました」

 

――付けペンを使うようになったのはいつ頃ですか?

大沢「高校2年生のときです。投稿しようと思ってGペンを使ってみましたが、描きにくいしガリガリとうるさいペンだなあと思いました。そうだ、投稿といえば実はそのときに一度、マガジンに持ち込みに来ているんですよ」

 

――え? そのときの対応がなにかまずかったとか…?

大沢「いえ! そのときはSさんに丁寧に見ていただいて嬉しかったんですが、同時に持ち込みに行った少年ジャンプで見てもらうことにしたんです」

 

――それからマガジンに戻ってきてもらえたんですね。よかったです。ありがとうございます!!

 

 

【雄飛の時】編 ~デビューから現在まで~

「アシスタントさんに聞きながら仕事しています」



インクや修正液が置かれている机の上。乾かすために物干しに吊り下げられているのは、現在執筆中の原稿。格闘の余韻が感じられるトーンの切れ端……などに囲まれながら、大沢先生へのインタビューが続く。

――デビューしたすぐあとに、愛知県から上京してきたんですよね?

大沢「はい。そしてアシスタントに入りました。2人の先生にお世話になったんですが、まず最初に入ったのは東直輝先生(マガジンSPECIALにて『爆音伝説カブラギ』を連載中)のところです。東先生の描いた絵の迫力には驚きました」

 

――迫力といいますと?

大沢「線が力強いんです。先生が描くとガリガリとすごい音がして、太くて勢いのある線が現れるんです。それまで私は綺麗に描こうと思って細い線で描いていたんですが、違いにびっくりしました」

 

――それだけ迷いのない線だったということですね。

大沢「先輩のKさんにも驚きました。キャラが吹っ飛ばされてケースにぶつかり、ビール瓶が割れるというところで、そのビール瓶が1本1本精密に描かれていて本当に凄いんです。またKさんが描くバイクも、細部まで精緻でとても素晴らしかったです」

 

――もう一人の先生は奈良一平先生(別冊マガジンで『ネコあね。』を連載中)でしたね。

大沢「奈良先生のところでは、一緒に働いていたアシスタント仲間の人があっという間に先に連載を決めてしまい、自分も負けていられない!と強く思いました」

 

――アシスタント時代はたくさんの刺激があったんですね。そういえば先日、大沢さんはアシスタント経験があるのに仕上げのことはよく分からないと聞いて驚いたんですが。

大沢「東先生のところに行った初日に、“大沢君、背景はキミ一人に描いてもらうから”と言われ、仕上げをやるよりも建物やクルマばかりを描いていたんです」

 

――それも珍しいですよね。いまは仕上げはどうしているんですか?

大沢「他の先生のところでアシスタントをしていた人が手伝ってくれているので、その人に“何番のトーンがいいですか?”と聞きながら仕事しています」

 

――アシスタントさんのほうが詳しかったんですね。PCでのデジタル作画はしないんですか?

大沢「やりたいんですけど、使えないから使わないという感じです。アシスタントさんでデジタル作画できる人がいるので、いつか習って使ってみたいと思っています」

 

――なるほど。デジタル作画で良いと思っているところはどんなところですか?

大沢「背景の効果に使ってみたいんです。アナログだと、どうしても“守り”に入ってしまうことがあって。たとえば連載の3話目に出てくる予定の、宇宙っぽい背景とかを描くときです。効果を入れるときに「失敗してしまったらどうしよう」という気持ちになると、思い切って攻められないんです。そういうとき、デジタルであればやり直しがきくのになあって思います」

 

――思い切って攻めてみたいということですね。ペンはGペンを使っているんですか?

大沢「はい。特に『Little Big Doctor』を描いたときにはほとんどGペンを使いました」

  • 『Little Big Doctor』はマガジンSPECIAL 2012年No.1に掲載された読みきりで、4月からの新連載のサイドストーリーとなる物語をプレ掲載したもの。いつか大沢先生の単行本に収録する予定なので、読み逃してしまった人はそのとき読んでね!

 

――Gペン以外には丸ペンなども使うんですか?

大沢「ええ、たとえば東雲(※編集部注:新連載の漫画に登場するキャラクター)の顔を描くとき、輪郭や目はGペンで描いていますが髪の毛は丸ペンで描いています」

 

――どういうふうに使い分けているんですか?

大沢「東雲の髪の毛は曲線ばかりで難しいので修正することがあるんですが、Gペンだとガッと行ってしまうので修正するのが大変なんです。だから丸ペンで描いています」

 

――使っているペン軸もすごいですね。

大沢「使わなくなったタオルを破って、グルグルに巻きつけて使っています。このほうが描きやすいので」

 

――読みきり『Little~』を載せてみてどうでしたか?

大沢「下手だなあと思いました(苦笑)。特に子どもの顔の線が、勢いよく描けていなくてダメでした」

 

――思い切って攻められなかったということですか?

大沢「そうですね……」

 

――仕事場の雰囲気はどうですか?

大沢「アシスタントさんたちが明るくて、楽しくしてくれるので助かっています。アシスタントさんたちはガシガシ描いてくれています。たとえばここを描いてくれたのはYさんで、こっちのコマはTさんが描いてくれました」

 

――(一緒に話を聞いていた編集Sが身を乗り出す)これ、Tさんが描いたんですか! わあ、上手になってる! 大沢さん、あざーっす!

大沢「そういえば今日も、みんなでSさんの話をして盛り上がりましたよ」

  • YさんもTさんも編集Sが担当している新人漫画家さんなのだ。

 

――(編集S、あわてた様子で)え!? え!? なに話したんスか!?

大沢「いや、Sさんがテレビに出たことがあると聞いて……」

 

――(編集S、椅子に倒れこむ)あ~、もう、そんな話を……。
――(そんな編集Sを無視して質問を続ける)食事とかはどうしているんですか?

大沢「出前で取り寄せています」

 

――あ、これですね(ホワイトボードに『日:中華/月・木:ガスト/金:カレー』と書いてある)。曜日で店を決めているんですか?

大沢「最初はそうしていたんですが、不満が出たので最近はなしくずしになってきて(笑)、これを食べたい!と言う人がいるところにしています」

 

――楽しそうな雰囲気の仕事場ですね! 今日は長い間ありがとうございます。最後に新連載に向けての意気込みをお願いします。

大沢「毎日がいっぱいいっぱいで、ひとカケラも余裕がないんですが、がんばります」

 

――ありがとうございます、期待しています!!

大沢祐輔先生の新連載は、週刊少年マガジン本誌第21・22合併号(4月25日発売)より開始予定!! 
タイトルは『Dr.デュオ』です。
どうぞお楽しみに!!

 

また、大沢先生が直筆メッセージを執筆してくれました。


大沢先生が描いてくれたときの様子を連続写真で特別公開します! 
無理にカメラで撮影することをお願いして、緊張のなか描いていただきました(汗)
見てみたい方は →こちら

 

 

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